今日は「教えて!退職金制度」、ある会社の事例を紹介します。

先日、退職金制度分析を依頼された会社の役員様から、適格年金に代わる退職金積立の方法として確定拠出年金(401k)導入を決めたことを聞かされました。私が分析結果を報告してから約半年、考えに考え抜いた結果だそうです。その結果確定拠出年金の運営管理機関となる金融機関に退職金制度設計をお願いすることにしたのとこと。お世話になったのにスミマセン・・・という話でした。

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会社として考え抜いた結果ですので、私はその理由を深く追求することはしませんでした。しかし、1つだけ気になることがあったので、いくつか質問しました。

「どうして新しい退職金制度として確定拠出年金を始めることにしたんですか?」
「積立不足が解消されるからです」
「えっホントに積立不足がなくなるんですか?」
「先生知らないんですか、確定拠出であれば運用リスクは会社が負わなくていいですし、結果として積立不足も発生しないそうなんです・・・」
「中退共も運用リスクは負わないですよ」
「ダメですよ。1%の利率じゃないですか。それじゃあ大して増えないですし従業員も納得しませんよ」
「では、退職金規程はどうするんですか?」
「それは変更しますよ、これからは従業員の運用次第ということで。頑張れば従来の退職金制度と同じくらいの金額がもらえるようになるかもしれないし。2.5%くらいの予定利率でシミュレーションしているので、昔の退職金制度より少なくなるって言っても、そんなにひどくないですよ・・・。多分合意もとれると思います。」

やはり、何か勘違いしているような気がしますね。どうやら積立不足を解消するというよりも、適格年金では運用成果があがらなくなったので、自分で何とか運用して貯めろと言うことにしようと思っているようです。非常に危険ですね。問題は沢山ありますが、今回は資産の運用に絞ってお話しをします。本当に運用がそんなにうまくいくでしょうか。ある調査結果では、最も運用成績が良い人が+17.5%の利回りを出している一方、最多分布は0.1%程度の運用利回りとなっています。つまり元本確保の運用が主流となっているようです。

そして元本確保型の商品選択が増える理由は「投資教育をしない」「WEBを見ろ、と言ったいい加減な教育になっている」為に、ある程度リスクを負って運用する意識が希薄である、ということのようです。会社が十分教育した結果なら0.1%なら自己責任と言えるかもしれません。そうでなければ会社の不作為が原因とされ、民事で争いになる可能性は十分にありますね。

そんないい加減な理由で退職金制度を変更し、まやかしの説明で不利益変更の合意をとって問題になると思わないのでしょうか。そして、今この会社が適格年金の幹事保険会社に抱いている不信感が「従業員の会社に対する不信感」に変わる可能性があると思います。「将来ある程度の退職金額は確保されているよと言われたのに」「2.5%なんてデタラメじゃないか」と言われかねないですね。

このままでいけば、この会社は退職金制度の改定ではなくて、単に責任を放棄するだけになりそうです。他にも問題点は沢山ありますが、焦点がぼけるので、今回は敢えて運用の話に絞りました。株が高めに推移している現在、確かに確定拠出年金を検討することは悪くないかもしれません。ただ、確定拠出年金導入を成功させる為には「継続した投資教育」が欠かせない、このことをよく考えて導入を検討して欲しいと思います。今後私が関わることはないのですが、今回お話ししたことに気づき、正しい退職金制度改革をすることを祈ります。

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