以前、パレートの法則について解説したことがありました。優先順位の高い仕事を集中的に行うことにより、効率的に利益を挙げる手法です。一方で業務改善をするときに「ムリ・ムラ・ムダ」を省くということが良く言われます。この「ムリ・ムダ・ムラ」を省くということはどの程度効果があるでしょうか。

本来やらなくてもいいこと、やっても効果がないことを省くということは一定の効果をあげるのは間違いないでしょう。大事なことに使う時間を増やすことができるようになるかもしれませんので、時間のやりくりはしやすくなるのかもしれません。

ただ、このやり方には落とし穴があります。「ムリ・ムラ・ムダ」を排除する行動に力を入れると、その間に大事なことに費やす時間が減る可能性があるということです。「ムリ・ムラ・ムダ」を省く行動が、利益向上を阻害する可能性があるということです。

パレートの法則に従って行動するのであれば、「利益の8割を挙げることのできる2割の仕事」に力を注ぐべきです。しかし「ムリ・ムラ・ムダ」があるといわれている仕事は「利益の8割を挙げることのできる仕事」ではありません。ですからパレートの法則から言えば後回しにすべき仕事ということになります。

このように、「ムリ・ムラ・ムダ」の排除は一見理にかなっているように見えますが、実は利益向上という見地から考えると遠回りの行動になる可能性がありますので、注意が必要です。心理的にも辞めることに力を注ぐよりも、「パレートの法則」にしたがってより多くの利益を稼ぐ行動の方がヤル気が出てよいのではないでしょうか。

社会保険労務士 新島 哲 ホームページ